リノベーションまちづくり@吉沢 vol.4
リノベーションまちづくりを考えるうえで重要な土地と建物。今回は建物についてお話したいと思います。
建物の活用にあたっては建物の現状を知る必要があります。建物の現状を知ることで活用できるかどうか、またその費用感について把握することが出来ます。
特に重要な視点が「建築確認の時点」と「ライフラインの状況」です。
1.建築確認の時点が分かると…耐震性に課題があるかどうか検討を付けられる
いつ建築確認が行われたかを知ることは耐震性の観点から重要な要素となります。建物を建てる際には、その建築計画が建築基準法などの法令に適合しているかを確認する「建築確認」が行われます。そして、その建築確認が1981(昭和56)年6月1日以降にされたかどうかがポイントになります。というのも1981(昭和56)年6月1日に建築基準法が改正され、より高い耐震性が求められるようになっているからです。
1981(昭和56)年6月1日より前の基準は「旧耐震基準」、1981(昭和56)年6月1日以降の基準は「新耐震基準」と呼ばれており、具体的には下表のような違いがあります。
旧耐震基準では震度6~7の地震について言及されておらず、また震度5程度の地震についても倒壊または崩壊しないことが基準となっているため、損傷を受ける可能性があります。
新耐震基準では震度6~7程度の大規模地震でも中規模地震(震度5程度)でほとんど損傷しないことを検証する「許容応力度計算」を行い、さらに大規模地震(震度6~7程度)で倒壊・崩壊しないことの検証を行う「保有水平耐力計算」を行ないます。
1981(昭和56)年6月1日より前に建築確認が行われている場合、新耐震基準を満たしていない可能性があり、さらに築年数を重ねて老朽化も進むため、対策が必要になるかもしれません。
2.ライフラインの状況が分かると…大まかな費用感が分かる
建物の活用方法は様々考えられますが、電気や水道、場合によってはガスなどライフラインが必要になることが多いと思います。これらは整備するにはお金がかかるため、位置関係がどうなっているか、そもそも使用できる状況かどうかを確認することで大まかな費用感の把握が可能です。ライフラインの整備にかかる費用が分かると建物全体の改修費など費用感、活用の規模感の把握にもつながります。
住宅においては劣化状況や改修が必要な部分を明らかにする「ホームインスペクション」を行うことも手段のひとつです。
ライフラインは欠かせないものであるため、改修を進めていく段階で整備が必要と判明すると想定外の大きな出費になることもあります。建物がもつ歴史やストーリー、構造や立地も大事ですが、ライフラインについては最初の段階で確認しておきましょう。